周到な準備と他力本願と。

ある意味,二律背反の典型例とも言えますが。


 恐らく,フットボールに限ったことではないはずです。


 バレーボールにせよ,バスケットボールにせよ。そして,スプリント,耐久を含めたモータースポーツの世界であろうと,「順位」を決めることが最も大きな要素となる競技においては,間違いなく重要な2つの要素だとワタシは思います。


 長期にわたるリーグ戦が面白いというその本質は,間違いなく自力の要素と,他のクラブの結果によってもリーグ・テーブルが変動していく,という他力の要素とが複雑に絡み合っているという部分にあるはずです。我らが指揮官の記者会見でのコメント(J's GOAL)もリーグ戦は混戦状態がある意味当然,ということを示しているように感じるし,清尾さんのコラム(Wepsうち明け話)も表現方法こそ違えど,その混戦を自力にせよ他力にせよ,巧みに抜け出したクラブがカップを掲げる,ということを言い表しているように思うのです。


 スポーツ・メディアの皆様方は数字だけを追い掛けて,首位との勝ち点差(ポイント差)がどれだけ開いたので総合優勝の目がなくなったとか結構お書きになるけれど,リーグ戦(あるいはチャンピオンシップ)はそんなに簡単なものではないと思います。


 とは言え,首位を追い掛ける立場にあるならば,全力で目前のゲームに対して準備を繰り返し,勝ち点3を奪取することだけに集中する。その繰り返しによって上位に対して徹底的にプレッシャーを掛け,そのプレッシャーによるミスを「積極的に」待ち構える。追い掛ける立場だって負けられない(ミスできない)けれど,追われる立場だって同様に負けられない(ミスできない)という意識が働いていく。そのプレッシャーに動じることなく,普段通りにリーグ戦を戦っていくことができれば。


 数字だけがリーグ・テーブルを決定付ける要素ではない。


 なぜならば,フットボールは採点競技でもなければ,タイムなどの「絶対基準」のある競技ではないから。リーグ戦を勝ち抜くためには相手との関係性が重要な要素となる。だからこそ,その数字を受け止める心理的な部分が,大きな意味を持つのだろうと思う。


 首位を現実的な視界に収めている限り,可能性は捨てない。虚勢などではなく,リーグ戦とはそういうものだと思う。