戦術眼というアクセルを。

また屋号関係のマクラからはじめようか,と思うのですが。


 レースで,先行するマシンを追い抜こうとしているつもりになってみます。


 そんなとき,どういう行動を取るでしょうか。相当な速度差があれば,戦略など関係なくちょっとラインを変えて一気にパスするでしょう。しかし,ポディウムを争うマシンとの勝負では,あらゆる戦略が必要になってくるはずです。最適なタイミングで相手のサイドに飛び込まなければ,パスしたあとにやり返されることもあり得るわけですし。


 いずれにせよ,「仕掛ける」ことがいままでの走行リズムを大幅に変え,加速態勢をつくり上げるための大きな要素であることは間違いないことです。
 そして,今節のチームに大きく不足していたのは相手(前車)のリズムに合わせてしまっている状況を変えるべく,「仕掛ける(=リズムを大幅に変えて追い抜きにかかる)意思」であり,アクセルを踏み込むべきタイミングを強烈に意識できる戦術眼ではなかったかな,と。


 レッズ番・河野記者のコラム(埼玉新聞)で指摘されているように,確かに各選手のメンタル面にも問題はあったと思いはします。しかし,メンタル面だけがすべての原因だとは思いません。
 流れを決定的に取り戻せる,という時間帯にラッシュを掛け,しっかりとフィニッシュまで持ち込むというチームとしての意思がまとまりを欠き,描くべきピクチャーのフォーカスがぼやけているような感じがしたのです。


 まだ,11ゲームが残っています。


 決して「戦闘態勢」を崩してはならない。むしろ,反撃に向けて態勢を再び整えてプレッシャーを掛ける立場に立たなければならない。確かにシフトミスをしたかも知れない。立ち上がりで再び離されかかっているかも知れない。それでも,再び加速していかなければ前との差を詰めていくことはできない。
 自分たちが主導権を早い段階で握れないゲームも確かにあるとは思う。重要なのは,そのときに相手のリズムで流れているゲームを自分たちの手に取り戻すために,「アクセルをワイド・オープンできる」こと。そして,そのタイミングをピッチ上の選手すべてが共有できること。単純だけれど,すごく重要なことを改めて意識させられたゲームだったように思います。