対鹿島戦(05−22A)。

「結果」だけから導かれる収穫よりも,はるかに大きな収穫を得たゲームだったと思う。


 ファイナル・スコアだけを取り出せば,2−2。今節において奪取できた勝ち点は,「1」にとどまる。
 しかし,前半も含めて「積極的に仕掛ける」姿勢を貫いていたこと,後半においては数的不利を跳ね返して2点ビハインドの状況をイーヴンに引き戻した。恐らく,客観的な数字には決して表れることのない,しかしチームにとっては間違いなく,リーグ戦終盤に向けてポジティブな影響を与えるゲームだったのではないか。必ず,今節における「勝ち点」が大きな意味を持ち,その勝ち点を奪取するに至った過程が大きな意味を持つことになるはず。そんなゲームではなかったか,と感じる。


 前半においては,攻撃面を支える中盤での厳しいファースト・ディフェンスが確かに影を潜めていたように思う。


 レジスタの位置でうまくボールが収まらず,攻撃を良い形で組み立てることが難しかったように思う。高い位置でのボール奪取によって攻撃リズムを作り出すのが浦和の基本的な攻撃スタイルだが,その攻撃リズムを作り出されないように,相手は中盤での攻防を避けるべくファースト・タッチ,あるいはツー・タッチ程度でボールを回すことでファースト・ディフェンスへ入るタイミングを外す,という意識を徹底させていたように思う。
 また,全体が前掛かりになったときの裏を狙う,という意識も同時に持っていたように思う。PKにつながる一連のプレーや追加点を奪われた場面は,チーム全体が前への意識を高めて攻撃を仕掛け,「裏」への意識が甘くなっていた部分を相手に冷静に突かれた。


 対して後半は,攻撃の組織性が一気に高まったかのような印象を持っている。


 ボールの走り方が,前半に比べて明らかにスムーズさを増した。チームとして本来持っている初期バランスを取り戻したかのように見えた。その矢先,数的不利の状況に陥る。


 しかし,取り戻したリズムを再び手放すことはなかった。
 コンビネーションを背景とした攻撃は決してトーンダウンすることなく,戦術交代によって攻撃に関するピッチはむしろ上がっているように思えた.そのなかから田中のヘディング,ロブソン・ポンテのダイレクト・シュートという結果が導かれる。
 守備面で言えば,高い位置でのファースト・ディフェンスが有効に機能しはじめたことで,最終ラインを中心とする守備ブロックの安定性が増したように見えるし,数的不利の状況に陥ってなお集中が切れることなく,むしろ高いパフォーマンスを見せていたように思う。


 前回エントリの表現を続ければ,単に首位を射程に収めているだけではないと思うのです。というわけで,まいどの通り1日遅れで書きはじめております。


 前半だけを取り出せば,シフトミスを犯して差を詰めるどころか,バックストレートで引き離されかけたようなものでありましょう。
 ただ,勝負を決して諦めず,積極的に食らい付いていった,と。そうすることで,恐らくは数的優位に立ったことで生まれただろう,相手の隙を的確に突くことができた。いい形でスティントを終えることができたことになります。


 「勝ち点3」を奪取し,さらなるプレッシャーを首位,2位に対して掛けたかっただけに,チームにとっても,サポータやファンにとってもドローは決して望む結果ではなかったと思うけれど,誇りに思っていいゲームだと思います。
 また,間違いなくこれからのリーグ戦にポジティブな影響を与えてくれるに違いない「勝ち点1」ではないか,と考えています。