対清水戦(05−QF#2)。

まず,準決勝進出,という結果を出せたことが最大の収穫だと思う。


 このことを前提として,“1−0”というファイナル・スコアについて。


 このファイナル・スコアについては,指摘しておきたい部分がある。
 ゴール・マウスが見えたら,パス・レシーバーを探すよりも先にシュート・モーションに入っていい,と感じる。より確実に相手ディフェンスのマークを引き剥がすことで,フィニッシュの精度を高めたい,という意図は理解できるが,それでもストライカーに限らず,もっとゴールに対してエゴイスティックであっていいと思う。
 カップ戦にあっては,ゴールの重みが大きく相手にのし掛かると思う。それだけに,不十分な形であったとしても積極的にゴールを狙い,局面を自身が打開する,という強烈な意思を見たかった。そういう観点から見れば,今節の“1−0”というファイナル・スコアは自分たちでゲームを必要以上に難しくしてしまった結果,と考えることもできるように思う。


 また,特に前半気になったことだが,両サイドと中央との連携,あるいは1トップとシャドー・ストライカーとの連携に熟成不足な印象を持った。単独突破を図った局面にあっても,後方から積極的にリフレクションを狙う飛び出しが見られなかったり,レジスタが良い形でボールを保持していたとしても,そのボール・ホルダーを積極的に前線に送り出すような形が見られず,パス・ワークが静的なパッケージを大きく崩すことなく繰り返されていたように思う。時折見せるプレーにはポテンシャルを感じるだけに,もっとそのポテンシャルを引き出すコンビネーションの熟成を期待したい。


 とは言え,「カップ戦とはこういうもの」,だとも同時に感じている。


 ノックダウン・スタイルのトーナメントにおいては,何よりも「失点しないこと」がクローズアップされる傾向があるために,互いのストロング・ポイントを徹底して消しにかかることが多いように感じる。今節における相手は,浦和が持つストロング・ポイントを徹底的に消しにかかるべく,最終ラインから前線へのロングレンジ・パスを意識した攻撃を組み立てようとしていたように思うが,最終ラインが積極的にラインを高めに維持すること,清水の攻撃陣に対するマン・マークとスペースに対する意識がいい形でバランスしていたことで,基本的に決定的な破綻を生ずることなく守備応対を繰り返していたように思う。その意味で,アウェイでの第1戦同様,第2戦をも無失点で終わることができたことは大きいと思う。


 さて,いつものように1日遅れで書いております。


 フットボールとは奥が深いスポーツだな,と改めて確認したゲームが,今節だったように思っています。
 以前からの基本システムである3−5−2を微調整して,1トップ・2シャドーで臨んだ前半においてはコンビネーションの熟成不足を露呈するかのような攻撃だったのが,ハーフタイムを経て中盤を逆台形型に配する4−4−2へとパッケージを変更し,サイドからの攻撃をさらにしっかりと意識したシステムへと変更すると,(当然,相手が数的不利の状況である以上,完全な評価にはなり得ないものの)攻撃の流れが圧倒的にスムーズになってきた。


 ゲームの展開に応じて,柔軟にパッケージを変更することで攻撃のリズムを取り戻す。


 4−4−2,というパッケージに一定の可能性を感じられたことを含めて,リーグ後半戦を戦っていく上での課題と可能性を感じたゲーム,ということになりそうです。


 最後に「FIFA推奨」のオフサイド・ルールについておまけをば(たいしたこと書いてないので,畳ませてもらいますです)。


 ごくシロートな感想を書けば,ゲームのリズムを必要以上に悪くしかねないように思うです。


 オフサイド・ポジションにいる選手が「実際にボールに関与」した時点でオフサイド・フラッグが示されたり,オフサイドの判定がされる,ってことだと思うですが,それならば攻撃に関与する意思のない「戻りオフサイド」を除外すればいいだけの話でしょ,とちょっと思ったりするですな.例えば,ギリギリのタイミングで守備ブロックの裏に飛び出してから実際にオフサイドの判定がでるまでの“タイムラグ”が何とももどかしいわけですよ。


 今節においては,永井選手が新採用ルールに引っ掛かりましたよね。今回に関しては,オフサイド・ポジションになる位置からの飛び出しだったためか,最後まで積極的にボールに触ろうとはせず,副審のフラッグを待っているような感じがありましたから。
 またタッチ・ジャッジもボール・タッチを待ちきれずにフラッグを上げようとしていたように見えたし。お互いにストレスのたまるような時間だったように思えます。闘莉王選手もタッチ・ジャッジが早い段階でオフサイド・フラッグを提示しないことに対して苛立ちを見せていたようにも思いますし。


 時間が解決する話,かも知れませんし,攻撃側をより有利に,という部分でのルール改正だったのかも知れないけれど,現段階で見るならば守備側,攻撃側ともに混乱しかもたらしていないような気がしますね。