Sorry, no reserved seat here.

たとえば瀟洒なレストランに行ったときとか,あるいは航空会社のカウンターだとか。


 そんなケースで,タイトルに掲げたようなことを言われてしまうと,非常に困った事態になりますがね。フットボールの世界ではむしろ「予約席」がない方が普通であるように思うのです。その意味でですね・・・,


 ジーコ日本,主力組の目の色が変わった!(日刊スポーツ)


という記事には違う意味で困ったです。


 ついでに言ってしまえば,「主力組」と「控え組」という言葉が定着してしまった状況も相当困った事態ではあると思うところです。


 なぜ,そう思うか。


 そもそも,代表に選ばれるからには「一定の水準」をクリアしているはずだと思うからです。
 となれば,レギュラーと控えを分けるものは,あるいはフィジカル・コンディションであったり,メンタル面での充実度であったりという部分だろうと思うのです。にもかかわらず,ゲームに出場するメンバーは固定される傾向が強かった。戦術的熟成をパーソナルな部分に頼るからだろうとは思うのだけれど,引き換えに戦う集団として機能する母集団が小さくなってしまう。それ以上に,チーム内競争が有効に機能しないことでチーム全体としてのモチベーションに大きなギャップが生まれてしまうことになりかねない。


 今回,東アジア選手権で噴出したネガティブの根底には,そんなあまりにパーソナルな部分に大きく依存したチーム,という部分があったはずです。そして,そんな困った事態をひっくり返すきっかけを「アテネ組」が作った。彼らが持つ代表定着に向けた野心であったり,今回のチャンスを逃せば再び代表に選出されるかどうか分からない,という危機感がしっかりと中国戦のピッチ上に“アグレッシブなプレー”という形で表現されたことで,本来チームが持っていなければならない「健全なチーム内競争」というダイナミズムが生まれた。


 思えば,初戦から東アジア選手権では様々なネガティブが噴出したように思いますが,そのネガティブを補ってあまりある,「戦闘集団」としてごく当然の原則が代表チームに芽生えた。そして本大会までの300日強,競争意識を高め続けることができたならば,代表チームのポテンシャルは大きく引き上げられるに違いない。今回の大会で最も大きく評価すべきことになるように個人的には感じています。