欧州連盟杯−準決勝第1戦。

「燻し銀」なカード,と言えば確かにそうですけども。


 ビッグクラブが必ず勝ち上がる,などという法則はそもそもないし。


 まさしくイレギュラー・バウンドすることが特徴である,楕円球をハンドルしなければならないラグビーフットボールほどではないにせよ,「偶然性」はフットボールの魅力を作る大きな要素であります。勝利のためには,確かに偶然性から導かれる「幸運」というものも重要な要素になるけれど,その幸運をつかんで離さないために準備をすることもまた必要だと思うのです。


 UEFAカップに向けて,どれだけいい準備をしてきたか。少なくとも,準決勝に進出したクラブはしっかりと準備をしてきた,と評価できるはずです。そのことだけは忘れずに,最後まで見届けておこうと思うです。


 とは言え,(失礼を承知で書けば)確かに華やかではないですな。


 「CL出場権を獲得できずにUEFAカップに回ってしまった」,という意識があるのでしょうけれども,参加したからにはビッグクラブにも「奮起を求む」,ということでまとめておきましょうか。とまあ,相変わらず前置きが長いのがお約束なErnestでございます。


 では本題である,UEFAカップ準決勝をまとめて見ていくことにします。また,第2戦が近いタイミングでのエントリになりますので,第2戦プレビューも兼ねて書いていきます。


 まず,ホームであるスタディオ・エンニオ・タルディーニで行われた,パルマCSKAモスクワ戦から見ていくことにします。


 ファイナル・スコアだけで見ると0−0のスコアレス・ドローであり,決勝進出に向けた条件は両クラブともにイーヴンのように見えます。しかし,心理面を考えれば,パルマに若干有利に第1戦の結果は働くかも知れない,と考えています。CSKAサイドから考えてみれば,若手主体のチームを組んできたパルマに対して,アウェイ・ゴールを奪取して第2戦へのプレッシャーを掛けておきたかったところでしょう。しかし,実際にはカンナバーロを中心とするパルマの堅い守備ブロックを破ることができず,前半終了間際には決定機を迎えるものの,フィニッシュの精度を欠いたために均衡を破ることができずに前半を折り返しています。後半に入っても基本的にはパルマの堅守に攻撃が機能しなかった,と言えそうです。


 となれば,決勝進出のためには第2戦において積極的に攻撃を仕掛け(同時に,相手に得点を与えないようにしっかりとした守備をし)ていかなければ,CSKAがUEFAカップ決勝に進出することはできないことになります。そして,パルマが若干有利だと思う部分がここにあります。


 相手が前掛かりになったところをカウンター攻撃で仕留める,という典型的なイタリアン・スタイルですが,CSKAが早い時間帯で先制点を挙げられなければ(=攻撃の組み立てに焦りが見えてくるようであるならば),かなり現実味を帯びたゲーム・プランであるように思います。


 もうひとつのゲームである,スポルティング・リスボン−AZアルクマール戦ですが,第2戦を考えると,ほぼイーヴンの条件であると見ていいように思います。


 逆転という形で第1戦をものにしたスポルティングとしては,その流れを第2戦に引き継ぎたいところでしょう。しかし第1戦をスポルティングにとってネガティブに見れば,ゲームを支配しながらも前半35分に先制を許し,早い段階(前半36分)で同点に追い付きはしたものの追加点を奪うまでには至らずに前半を終了し,後半もゲームを支配しながらも追加点を奪うには至らず,79分までAZの守備ブロックに跳ね返されていたことは,第2戦に向けて気になる部分でしょう。


 AZにしても,堅守を支えてきた選手が警告累積により第2戦は出場停止になり,守備ブロックに不安を抱えることになりそうです。スポルティングの攻撃をどう抑えつつ,ゲームをコントロールするか。第2戦でこの課題がクリアできれば,AZにもチャンスが十分にあるように見ています。