心の隙。

思えば,この言葉はラグビー日本選手権を形容する言葉でもあったかな,と。


 ヴェルブリッツは,早稲田大学を相手に思わぬ苦戦を強いられる。圧倒的に有利と評価されていた,ブレイブルーパスがそのヴェルブリッツに屈する。


 同じ図式を見たように思う。


 前任指揮官の記者会見における常套句と言っていい,「前半は寝ていた」というフレーズは,心理面がゲームに与える影響を端的に示していると思う。そして,グループリーグ第2節の後半はヴェルブリッツブレイブルーパス,そして数年前のチームと同じような状況にあったのではないか。


 戦術的な成熟度を増し,個人能力によって相手を凌駕できるとしても,何シーズンも前から指摘され続けてきたもうひとつの要素が欠落してしまえば,容易に足下をすくわれる。
 早い時間帯でゲームを圧倒的に支配できていたとしても,その後手綱を緩めるようなことがあれば,相手に息を吹き返す余地を与えてしまう。常に攻撃的にゲームを支配する必要はないが,少なくとも相手のリズムを乱してゲームをコントロールしなければならないはず。自分たちのリズムを崩すことがなければ,結果的に相手にゲームの主導権を握られることはなくなるのではないか。


 90分間ゲームをコントロールし,相手がどう出て来ようとも自分たちのスタイルは決して崩さない,という強烈な意思がなければさらなる高みは見えてこないはず。それどころか,奈落の底へ落ちることにもなりかねない。
 「強さ」をより安定したものにするために,ひとつひとつのゲームの完成度に対してもっと貪欲であっていいと思っている。