TM(PSM)の位置付け。

スポーツ・メディアは時に,誇張表現を好んで使うものでして。


 サンスポのこちらの記事とか,いくらかオブラートに包んだ表現にはなってはいるけれど日刊のこちらの記事は一見すれば,なかなかに刺激的ではあります。
 しかし,真相はと言えば,スポーツ・メディアの各記事と埼玉新聞の記事との中間地点あたりではないかな,と。で,それがトレーニング・マッチ(TM)やプレ・シーズン・マッチ(PSM)の持つ意味合いではないかな,と思っているErnestです。


 今季は,前,後期制から通年制へ移行する重要なシーズンであります。


 はからずもA3チャンピオンシップ最終戦で横浜が示したように,長いシーズンを乗り切るためのフィジカル・コンディション,選手層の厚さや各選手がチームの基本戦術を理解すること(戦術理解度を高めていくこと)などが昨季よりも強く求められていきます。長いシーズンを乗り切るためにはヴァイタルであると思われる,これらの要素を獲得する大事な時間が,トレーニング・キャンプでありましょう。
 であれば,TM(PSM)では結果だけを見ることでチームの完成度を測るよりも,ゲーム内容を俯瞰的に捉えること(=若手選手にまでチーム戦術が浸透しているかや,コンビネーションの熟成が図られているか,など。),あるいは局面ベースで各選手の動きを見ることの方がはるかに重要であることは間違いないところでしょう。そういう部分から言えば,若手主体でスターター・ラインアップが組まれた対ロッソ熊本戦が実際には最も重要なゲームであった,ということにシーズンを振り返るような時期にはなるかも知れません。


 一方,トップチーム(レギュラー・クラス)主体でスターター・ラインアップが組まれた対福岡戦においては,福岡が昨季で言う“ボカ・ジュニオールズ”の役割を期待されたと,好意的に解釈することも可能かな,と。
 ただ,惜しむらくは「激しさ」が「高い個人能力を伴った激しさ」というレベルには到達していなかったことでありましょうか。激しさがしっかりと理性でコントロールされることのない,「ラフ」という領域にまで入ってしまったからこそ,指揮官がきっちりと(ごく当然のこととして)クギを刺した,というところではないかな,と。フィジカル・コンディションを追い込んでいる状態でどれほど動けるのか,をテストしていたのだとすれば,危険回避もシーズン中の水準を求めることは難しいはずです。にもかかわらず,シーズン中の水準に近い激しさで来られたことで,予想外の負傷者を出すことに対する警戒感もあったには違いないけれど。そういう部分では,日刊の論旨もあながち的外れでもない,とは考えます。


 しかし,全体的な部分を含めてみればやはり地元紙・埼玉新聞(恐らくペンは,レッズ番の河野さんでしょうけれども。)の分析の方が正しいのかな,とは感じています。


 シーズン開幕まで約2週間。トレーニング・モードから実戦モードにシフトするためにも,福岡をスパーリング・パートナーに指名したのはある意味「絶妙」だったのかも知れません。