優雅なデルタ。
まずは,ちょっとだけ業務連絡を。
昨日は,とんでもないケアレス・ミスを犯しまして失礼しました。ご指摘を受けて,すっかり思い込みで(なおかつ,キチッとした確認作業をすっ飛ばして)書いていたことに気が付きまして。指摘いただきまして,ホントに感謝しております。
タイトルからして,完全にやらかしてしまいました。ときどき,とんでもないミスをする可能性がある(国際試合だと特に)ので,お気付きの方はショート・コメントで結構ですのでご指摘いただけると幸甚です。
さて,今回はフットボールから離れまして,屋号的な話など。
webCGさんに寄稿されている島下さんのレポートをもとに,ランチア・デルタのことを書いていこうと思います。
島下さんも書いていますが,デルタという語感からはスポーティなイメージが感じられます。それだけ,“HF”,あるいは“インテグラーレ”の印象が強烈なのだと思います。ですが,エレガントなランチアは「伝統回帰」でもあるように思います。デルタだけ,どこか違った印象を与えていたけれど,ランチアというブランド・イメージからすれば,こちらが本流だ,というような。また,小排気量でエレガントな仕立て,というのは現代的でもあるようにも感じるところです。
そこで,歴史を紐解きつつ,デルタを見ていこうと思います。
まずは,私たちが思うデルタのイメージから。
思うに,ラリー・フィールドで活躍するマルティーニ・カラーだったりトティップ・カラー,あるいはレプソル・カラーに彩られたデルタではないでしょうか。WRCの車両規定がグループBからグループAへと変更を受けた際,ベース・マシンとして選ばれたのが当時のデルタだったわけです。もともと小排気量エンジンが搭載されていたエンジン・ルームに,ターボ過給を受けたランプレディ・ユニットを搭載,駆動形式はグループBでも強力な武器となったフルタイム4WDであります。デルタHF4WDであります。ポルシェ的な表現をすれば,この当時はまだ“ナローボディ”でした。
ここからの進化は,エンジンとサスペンション・ジオメトリー両面で進みます。まず最初は,トレッドの拡大に伴うブリスター・フェンダー化が実施されます。“インテグラーレ8V”です。そのあと,高出力化を狙ってエンジンを変更したのが“インテグラーレ16V”,さらなる高出力化によって放熱面での対策を施し,サスペンションの変更を受けたのが“エボルツィオーネ”です。
とまあ,武闘派なモデルのイメージが強烈なのですが。ランチアの歴史から思えば,ちょっと本流からは外れているかも知れません。むしろ,島下さんがレポートしている新型デルタの方が,本流であると考えるのがフェアでしょう。
小さくても優雅。案外現代的な考え方だと思いますし,そう考えると悪くないクルマとして映ってくるように思うのです。
いささかギョッとするデザインですが,よく見るとかなりパッケージングが煮詰められているようです。ジウジアーロさんが最も典型的だと思いますが,パッケージングに関するデザインはかなり秀逸です。そんな流れが,このデルタにも引き継がれているようです。また,プジョーも似たような路線を狙っていますが,ステーション・ワゴン的にも使え,ピープル・ムーバー的な快適さも持つハッチバック,という「いいトコ取り」を意識していると感じます。島下さんの表現を読む限り,ライドにもかなりの期待が持てます。
このデルタ,ひさびさに正規輸入となるのだとか。こういう,「小さな高級車」的なクルマ,エコを意識しなければならない現代にあっては見直されていいコンセプトだと思います。デルタに限らず,こういうクルマが増えてほしい,と個人的には思います。