トップが先か、下部組織が先か。
いいアイディアだとは思いますが。
裾野を広げる,というならば,現実的な方法論を考えておいていいと思います。
犬飼会長「J全クラブに女子チームを」(サッカー) ― スポニチ Sponichi Annex ニュースであります。
犬飼会長は,Jクラブに女子サッカー・チームを,というコメントをしています。この記事を読む限り,意識しているのはトップ・カテゴリに参戦するチームのようです。確かに,「最終的には」トップ・カテゴリを狙うことのできるチームが増加し,プロフェッショナルとしてプレイできるフットボーラーが増えていくことが,代表チームの強化につながっていくものと思います。
その受け皿に,Jクラブがなることが望ましい,と。
総合型スポーツ・クラブを理念として掲げているのですから,あり得べきアプローチでもありましょう。
ただ,トップ・カテゴリにすべてのJクラブが短期間に,といえば無理があるようにも思います。クラブ・マネージメント,特にフィナンシャルな側面でトップ・カテゴリに参戦するチームをさらに抱え,下部組織をも大幅に拡充しなければならないとなれば,アイディアがいかに良いものであろうと,受け入れられない可能性も考えなければなりません。
そこで,ごく大ざっぱに言ってしまえば。
トップ・カテゴリから下部組織へ,という流れではなくて,現行の下部組織を拡充させる中からトップ・カテゴリ参戦への可能性を探る,というアプローチがあってもいいのではないかな,と思うのです。また,日本特有のフォーマットである「実業団」,彼らの持っているリソースを育成分野にも生かせる形を模索していってもいいのではないかな,と。
まず,Jリーグ・クラブは参入にあたって下部組織の整備が条件となっています。この下部組織を女子サッカー普及に際して活用していくことを,はじめの一歩としてみてはどうかな,と思うわけです。
クラブによってはサッカー・スクールであったり,コーチング・キャラバンなどの普及活動を展開しています。いますが,ジュニア・チームやジュニア・ユース,あるいはユースへとブリッジさせていくような形にはなっていません。ここからフットボールを続けていこうと思えば,学校を基盤とする部活動へと進むか,あるいは下部組織を整備しているクラブで活動を続けるか,という選択肢になるようです。女子サッカーの基盤を強化するにあたってのネックは,このあたりにもあると思うのです。
必ずしも,下部組織を充実させているクラブが多くあるわけではありません。ポテンシャルを持った選手がいるとして,そのポテンシャルを持った選手が他競技に流出する可能性もありますし,逆に新たなタレントを呼び込むのも難しい。ならば,Jクラブが普及過程から育成,強化課程へという流れをまずは担当することで,基盤を広げていってもいいと思うわけです。言ってみれば,J発足時とは逆の流れ,下から上をつくっていく,という方法論も検討の余地があると思っているのです。そして,豊かなリソースを持っている実業団にも,積極的に下部組織構築に向けた協力を仰ぐ。地域に対して開かれた組織,を作ってほしいと思うのです。
決して,コンセプトまでが間違っているとは思わない話です。であればこそ,方法論には柔軟性があってもいい話かな,と思うのです。