特別な1/13(TL第1節)。

リーグ開幕戦,であります。


 ラグビートップリーグ(TL)は,ポストシーズン・トーナメントが続きますから,スタンディングがそのまま年間成績へと直結するわけではありません。ありませんが,レギュラー・シーズンをどのポジションで終えることができるか,は間違いなく,クラブの総合力を示す指標でありましょう。
 昨季は,マイクロソフトカップにおいて,“リーグ・チャンピオン”の称号をサンゴリアスに掠われた感のあるワイルドナイツですが,今季は選手権とリーグ戦との“DOUBLE”を虎視眈々と狙っているのではないか,と推理します。


 となれば,初戦は単なる1/13以上の意味を持ってくるに違いない。


 ひさびさに,サンスポさんの記事をもとに楕円球方面の話,であります。


 まずは,サンゴリアスですけれど。


 端的に言ってしまって,「準備不足」でしょうね。クリティカルな局面でハンドリング・ミスを犯す,というのはサンゴリアスらしからぬ印象がありますが,それだけチームが熟成されていない状態で開幕戦へと入ってしまったように感じられます。また,グレーガンがフィールドでチームをコントロールするには,まだ相応の時間が必要かな,と思います。チームに合流してからそれほどの時間が経過していないようですから,コンディション面でも100%とは言えない部分があるはずですし,グレーガンがイメージするプレーをどれだけ周囲が感じ取れるか,という部分でコミュニケーションが不足している。
 いかに,戦術的なイメージを束ね上げることに長けている指揮官でも,チームの中核に変更を与えたのであれば,戦術的な約束事を書き替えることが必要であるはず。にもかかわらず,どうもその手続を飛ばしてしまったような印象です。
 ただ,グレーガンが100%フィットしてくると,そして周囲が彼のイメージに同調できるようになると,確かにチームのスタイルは大きく変化するだろう,とも思います。そのときに,グレーガンのチームになってしまうのか,それともグレーガンを生かし切るチームに進化を遂げるのか。この差はかなり大きいはずだと思います。


 対して,ワイルドナイツです。


 チームとして描いている戦術的なイメージは,しっかりと宮本監督時代から継承されているな,と感じます。また,トニー・ブラウンの緻密なキックを,“エリア・マネージメント”の中心的な要素に据えていることも,昨季から継承されているな,と思います。
 単純にキックだけを取り出すならば,エリアを回復,あるいは奪取することはできません。また,キックが距離,正確性を欠くものであれば,かえってピンチを招きかねないことも確かです。
 しかし,「計算できる」キックであれば,話は違ってきます。また,キックと同時に相手に対するプレッシャーを仕掛けることで,高い位置でのボール奪取を狙うこともできます。恐らく,キックに対する共通理解を基盤に,攻撃するためのディフェンスを仕掛ける,という意識を徹底しているはずです。トニー・ブラウンのキックは確かにスペシャルですが,そのスペシャリティをチームとして最大限に生かす,という姿勢が徹底されているし,熟成もされている。


 ワイルドナイツにとっては,理想的なリーグ戦の立ち上がり,と言えるでしょう。この流れを維持したままに,リーグ戦を駆け抜けたいところです。
 ところですが,ブレイブルーパスグリーンロケッツ,五郎丸が加入したジュビロなど,厄介な相手もいます。今節のような,「らしさ」を押し出したゲームがどれだけできるか,期待したいところです。