対柏戦(14−24)。

これまでとは違う結果を,引き出せるはず。


 そんな予感,あるいは期待感を持たせてくれる,立ち上がりの時間帯だったように思います。


 繁忙期は抜け出したはずなのに,相変わらずの低空飛行状態,のみならず時期に遅れまくっておりまして申し訳ありません,の柏戦であります。ですので,短めの方向で思うところをまとめておこう,と思います。


 さて。立ち上がりの時間帯であります。この時間帯に先制点を奪取することはできなかったものの,このときの攻撃の流れは,“ミラーゲーム”を狙って相手が持ち込んできたパッケージに対する処方箋を,浦和が明確に描き出しているだろうことを感じさせるものでした。今節の相手は,高い位置から積極的にプレッシャーを掛け与える,というよりもブロックの安定性,浦和の攻撃ユニットに対して数的同数な状態をつくり出すことを意識した戦い方を徹底していたようです。この相手守備ブロックに対してどのようなチャレンジを仕掛けていくのか(=ビルドアップからフィニッシュへの流れをどのようにして組み立て,攻撃リズムを生み出していくか)という部分の約束事,戦術的なイメージがチームとして共有されているように感じさせる,そんな立ち上がりの時間帯であったように思います。


 アクションを起こしているボール・ホルダーに対して,どのようなアクションを連動させ,ボールを呼び込み攻撃を連動させていくのか。


 スプリントが要求されるのは当然として,そのスプリントを意味のあるスプリントとするために,しっかりとした状況判断ができることなど,“インテリジェンス”も当然に要求される。そのバランスが,しっかりと整っている。FKから先制点を奪取した局面にせよ,2点目を奪取した局面にせよ,決して立ち上がりの時間帯にチームが表現した形とは同じではありませんが,戦術的な基盤と,この持っている能力とがしっかりとバランスしている,機能に裏打ちされたコンビネーションがピッチに表現された,という意味で言えば,浦和が狙うフットボールがしっかりと表現された局面であり,時間帯ではなかったかな,と思います。


 対して,課題面であります。


 数的優位な状態を生かし切れなかったこと,も課題かも知れませんが,追加点を奪取するために攻撃的な姿勢を強めすぎなかったこと,をポジティブな要素として捉えておきたい,と思います。ビルドアップから攻撃面でのギアを引き上げる,という段階までを取り出せば,確かに圧倒的な優位を構築できていたかな,と思います。思いますが,ここで攻撃面へと重心を傾けすぎてしまうと,数的不利に陥っているはずの相手に対して「使える」スペースをサーヴィスすることにもなりかねない。チーム・バランスのインバランスを最低限度に抑え込めていた,という側面から見るならば,ポジティブに見ることもできるのではないか,と思うわけです。むしろ,チーム・バランスの不安定性,という側面から言うならば,失点を喫することとなった局面を含めて,2点目を奪取したあとの時間帯が課題かな,と思います。失点の局面を振り返ってみるに,浦和はなかなか相手ボールホルダーに対して有効なチャレンジを仕掛けられていなかった,という印象が残っています。相手の仕掛けてくる攻撃に対して,チャレンジを仕掛けるべき位置をなかなか見出せずに相手の後手を踏む形へと追い込まれてしまったように感じるわけです。ビルドアップから攻撃面でのギアを引き上げる,というタイミングでボール・コントロールを相手に奪われる,といいますか,自分たちからボール・コントロールを相手に譲り渡すような形になってしまうと,チーム・バランスが攻撃方向に傾いている状態,守備応対面から見れば理想的とは言えない状態から守備ブロックを整え直すことが求められるものの,チーム・バランスが必ずしもコンパクトな状態を保てていなかったがために,守備ブロックを整え直すだけの時間がなかなか取りきれないと同時に,相手ボール・ホルダーに対するファースト・ディフェンスが有効に仕掛けられない状態に嵌り込み,結果として相手の後手を踏み続けてしまう,という悪循環に陥りがちですが,この局面もこのような悪循環にチームが嵌り込んでいたような印象です。攻撃面での意識と,守備応対面での意識をどのようにバランスさせ,ハーフタイムへと持ち込むか。今季,ゲーム・クロックが45:00から再び動き出し,60:00前後の時間を表示するまでの時間帯をどう戦うか(後半立ち上がりから15分前後の時間帯,どれだけ相手に主導権を譲り渡すことなく,狙う戦い方へと相手を引き込んでおけるか)が課題として見えていた試合は決して少なくない,という印象がありますが,この時間帯の戦い方をより難しいものとするか,それとも自分たちの狙う戦い方へと相手を早い段階で嵌め込み直せるか,今節で言うならば,2点目を奪取したあとの戦い方が鍵となるように思うのです。それだけに,ゲーム・マネージメントという部分で詰められる要素があるように感じますし,しっかりと課題をクリアして,詰めるべき部分を詰めてほしい,と思うところです。


 と,長めになってしまうわけですが。


 これまで,なかなか結果を引き出すことができなかった相手が3連戦の初戦であり,ここで「勝ち点3」を積み上げることができたことで3連戦を戦っていくためのリズムがつかめたのではないか,と感じます。フィットネスを維持するだけでも難しい部分があるか,とは思いますが,この流れを手放すことなく「勝ち点3」を着実に積み上げていくためのアプローチを続けていってほしい,と思います。